霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第3回

「笑う老婆」長年にわたる嫁姑のいさかいが生んだ恐ろしい結末

霊能館公開

私の父方は代々、山伏の家系なんです。村山修験というのですが、亡くなった祖父も生前、定期的に富士山に登って修行していたと聞いています。その血筋のせいなのかもしれませんが、私も子供の頃から凄く霊感が強くて、ちょくちょく霊の姿が見えたり、声が聞こえたりします。ついこの前も近所で七十過ぎのお婆ちゃんが亡くなって、そのお通夜のお手伝いに行ったのですが、そこでも霊を見てしましました。その家は亡くなったお婆ちゃんとその息子、それから息子の嫁と子供の四人家族だったのですが、もう十年以上前から嫁姑の仲が険悪で、二人の怒鳴り合う声が毎日のように隣近所まで響き渡っていました。堪りかねてパトカーを呼ぶ人もいたくらいでした。

私が手伝いに行ったのは夕方の5時くらいだったでしょうか。すでに家の居間には祭壇が作られていて棺も置かれていたのですが、奥さんがその前に座ってうなだれていました。仲が悪かったとはいえ家族ですから、さすがに悲しんでいるんだなと思ったんですが、慰めようと近づいてゾッとしました。奥さん、泣いているんじゃなくて、ククク……って笑いを噛み殺していたんです。何だか嫌になっちゃって、そのまま帰っちゃおうかなとも考えたのですが、近所付き合いの手前それは無理なので仕方なく台所の手伝いをしました。それで仕事が一段落ついて再び祭壇の部屋に戻ったら、喪服に着替えた奥さんがご主人と一緒に焼香のお客さんたちに挨拶をしていたのですが、そこでまた背筋が寒くなりました。奥さんの背中に、死んだお婆ちゃんが覆い被さるようにしがみついていたんです!片手を奥さんの髪の中に潜り込ませて、指先をグリグリとねじ込ませているような仕草をしていました。もちろん私だけにしか見えませんから、グッと息を噛み殺して知らぬ振りをしました。そうしたら、お婆ちゃんの霊が急にこちらへ顔を向けたんです。そして鬼みたいな形相で、
「誰にも言うなよ!」
と……。私、耐えきれなくなってそのまま部屋を飛び出しました。

体調が悪いと嘘をついて翌日の葬儀の手伝いへは行きませんでした。それから数日はそこの家の前を通るのが嫌で、買い物のときもわざわざ遠回りしていたのですが、一週間くらい経ったある日の早朝、けたたましいサイレンの音が聞こえてきました。何だろうと思って外へ出たら、例の家の前に救急車が止まっていて、担架に乗せられた奥さんが車内へ運び込まれるところでした。その後、すぐに奥さんは亡くなりました。死因は脳内出血でした。お通夜の晩、お婆ちゃんの霊がやっていたことの意味が分かり、あらためて身震いしました。その後はあの家の前は絶対通らないようにしています。だって家の屋根の上で、いつもあのお婆ちゃんがゲラゲラ笑っているんですよ。あれはもう人の道を外れて、妖怪みたいな存在になってます。本当に恐ろしいです。