霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第19回

「黒いお婆さん」「幽霊が出るので見て欲しい」と頼まれて出向いた先の家には、想像以上の恐怖が潜んでいた!

霊能館公開

私に霊感があるということを聞きつけて、いきなり相談を持ちかけられることが多いのですが、正直とてもしんどいです。断ることができれば良いのですが、仲の良い友人などからの紹介だと無碍にはできません。そういう場合はどうしても引き受けざるを得ないのです。

Aさんという同年代の女性と渋々会うことになったのも、そんな経緯からでした。
「今、住んでいる一軒家に幽霊が出るみたいなんです。私は全く分からないんですが、子供達がすごく怖がっちゃって。良かったら見ていただけないでしょうか」
彼女の話では、問題の家に引っ越したのは一年近く前とのこと。築浅の中古物件で家屋の状態が良く、ロケーションの割りに安かったので、ご主人が乗り気になってすぐに購入。しかし、住み始めて一週間ほど経った頃から、小学生の息子さんと娘さんが「夜中に家の中を真っ黒いお婆さんが歩いている」と騒ぎ出したそうです。

その後、Aさんの車に乗って現地へ行きました。そこは住宅地の中のごく普通の一軒家。ガーデニング好きらしく道路に面した前庭がとてもよく手入れされていて、色々な種類の花が美しく咲き誇っているのが印象的でした。その家自体はもちろんのこと、見渡す限りのご近所もとても明るい雰囲気に満ち溢れていて、(こんな場所に幽霊なんかいるの?)と首をかしげてしまいました。案内されるまま家の中を隅々まで拝見しましたが、案の定それらしき存在は全く感じられませんでした。やがて息子さんと娘さんが学校から帰宅し、五時過ぎ頃にはご主人も仕事先から戻ってきました。その帰宅したご主人の姿を見たとたん、私は凍りつきました。スーツ姿の背中に真っ黒い影のような霊体がしがみついていました。そこの子供たちが言っていた通り、一瞬見た感じは和服を着た小柄なお婆さん。しかし目を凝らしているうちに、石か木で掘られた神像のようにも見えてきました。
「何も言うなよ!」
突然、頭の中に重々しく恐ろしげな声が響き渡りました。謎の黒い霊は、ご主人の背中越しに凄まじい形相で私を睨みつけていました。濁った黄色い目が爛々と輝いているのがいっそう不気味でした。さらにその霊の発する波動があまりにも強烈で禍々しく、(これは素人の手には負えない!)と直感した私は、お茶を濁すような感じで早々にその家を出たのです。

帰宅後、昵懇にしている神主さんに電話で話したところ、
「それは恐らく祟り神でしょう。どこかの祠に祀られていた神様が不本意な形で行き場を失って、その男性にくっついているんです。下手をしたら命を落とすので、今後は一切関わってはいけません」
と諭されました。そうした存在を完全に祓うのは、修行を積んだ神主さんやお坊さんでもかなり難しいそうです。

その後、半年ほどしてA家のご主人が突如失踪したことを人づてに聞きました。そもそも、なぜあの家のご主人が神様に祟られる羽目になったのか、真相は今も分からないままです。