私の心霊体験談~S高校の日々~

私自身が通っていたS高校での出来事を、全5回に渡ってご紹介いたします。地域や名称はもちろん特定できない範囲での記述としておきます。ただし、知っている人からすれば「あぁ、あそこの高校だな」とすぐに気付くことでしょう。

第3回

落ちる額縁

霊能館公開

部活動に力を入れている私の通うS高校には、不思議な現象がたびたび起こります。前回の「第2回 亡くなった顧問のシート」で登場してきた熱血教師のH先生ですが、他にもH先生にまつわる不思議な体験が実はあります。今回の舞台も部活の練習場です。

私達の練習場には、格言がデカデカと書かれた大きな額縁が2つ掛っています。1つは「集中」という文字の額縁、もう1つは「一球入魂」という文字の額縁です。どちらも筆を使って書かれていて、力強く太い文字でこちらにもそのパワーが届きそうなほど威圧感があります。この額縁の文字、実は亡くなったH先生の直筆の文字なのだと顧問のI先生に教えてもらいました。その話を聞いてから、「なるほど、だからこんなに強いパワーを感じるのか」と妙に納得したことを覚えています。

あるとき、いつも練習指導をしているI先生が、出張のため練習に来られない日がありました。とにかく毎日ハードでクタクタな状態だった私達は、I先生が来られないならと、「練習」とはお世辞にも言えないような息抜きを通り越したダラけた練習をしていました。「今日の授業、最悪だったね」などと愚痴を言ったり、「いつもこんな練習だったら楽なのにね」と冗談を言い合ったりと、まったく緊張感のない雰囲気だったと思います。時間が経つにつれてどんどんその雰囲気はひどくなっていき、あちこちから笑い声がするようになりました。

と、その時!ガタン!!と床が割れるような、地震でも起きたのかと錯覚するほどの大きな音が額縁の方からしたのです。みんな一斉に額縁が飾ってある方を見ると、その「集中」という額縁が床に落ちていました。私はI先生からその額縁のことを聞いていたので、H先生が見て怒ったんだと感じました。そのことをみんなに言うと、全員が青白い顔になって「すいませんでした!!」と慌てて全員で謝り、急いで練習に戻りました。それまでの雰囲気とは一変して、いつものような緊張感溢れる練習風景になり、誰も無駄話をすることがなくなりました。

私と、近くにいた先輩とでその額縁を元の場所にかけ直したんですが、紐が切れた形跡もないし、壁に打ち込んである杭が抜けている訳でもありませんでした。先輩は「どこがどうなったらコレが落ちるんだろう?」と言っていましたが、以前こちらでも紹介した「シートの話」をしたら、深く頷いて納得していました。私自身も「やっぱりこれはH先生からのお告げなんだな」と実感し、気持ちを入れ替えて練習にのぞみました。実はこの「集中」の額縁、その後何度掛け直してもどんなに工夫して掛けたとしても、練習の雰囲気が悪いときにはガタンと落ちるのです。I先生がいる前でも落ちたことがあって、先生が腰を抜かさんばかりに驚いている光景には、お腹を抱えて笑いましたね。ちなみに、「一球入魂」の額縁も落ちたことが1回だけあります。熱血教師のH先生は、時代を超えてもS高校の私達の部活を応援したいのだな、と感じました。