霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第7回

「白目をむく女の子」仏壇の前で霊媒師が祈り始めると、突然その家の家族に異変が起きて……!

霊能館公開

父方の祖母は地元でオカミサンと呼ばれる、いわゆる霊媒師なのですが、私もその血を受け継いで多少、人に見えないモノが見えたりするんです。それでこの前、祖母の仕事に同行した時に怖い目に遭いました……。そこは隣町にある旧家の屋敷で、先月、ご主人が急逝されたとのことでした。祖母はその仏様の魂を取り次ぐために呼び出されたのです。高齢で車の運転ができないので、私が代わりに運転して送り届けたのですが、成り行きで口寄せの場に同席することになってしまいました。通された仏間には、五人の人間がいました。亡くなったご主人の未亡人とご両親、それから子供が二人。一人は高校生くらいの男の子で、もう一人は五歳くらいの可愛い女の子でした。祖母が霊を降ろす姿は今までも何度も見てきましたので、(ああ、いつも通りにやっているな……)という感じでした。

儀式を一通り終えると祖母の身体に霊が降り、奥さんやご両親がその霊に向かって話しかけ始めました。でも何だか雰囲気がおかしくて、三人とも厳しく詰問するような口調でした。「女は全部で何人いるんだ」とか「他に子供はいないのか」とか、明らかにご主人の生前の行状について問いただしている様子でした。それに対して祖母に降りた霊は、ただ首を横に振るだけで全く応答せず、苛立った奥さんとご両親は鬼のような形相になっていました。最後は舅さんが「本当に降りているんか!」と怒鳴り出す始末。私は部屋の隅でオロオロしていました。と……突然、その場にいた女の子がもんどりを打ってのけ反り、白目をむいて痙攣し始めたのです。慌てて「大変です!」と叫んだのですが、残る四人の家族は全く知らぬ振りで立ち上がろうともしません。
(ここの家の人間はおかしい!)
私は女の子の身体を自分の腕に抱きかかえました。そして、軽く揺すりながら呼びかけると、泡を吹いた小さな口が動き出しました。
「タエロ……タエロ……」
そう呟くと、白目をむいたままゲラゲラと笑い出したのです!凍りついた私の腕から飛び出した女の子は、気味の悪い笑い声を響かせながら部屋の隅をくるくると走り回り、やがて廊下へ飛び出していきました……。

結局、口寄せは不首尾に終わり、祖母と私は塩を撒かれんばかりの勢いでその家を後にしました。帰宅の車内で最前の体験を話すと、
「恵理子も見えたんか……ありゃ、もうダメじゃわ……あの家のモンは、みんな取り憑かれとるわ」
どういうことかと訊くと、私が見た女の子はこの世の者ではない、と言うのです。
「あそこの親と嫁は、財産分けるのが惜しくて、旦那がよその女に孕ませた子供を無理矢理、堕ろさせてるんだよ。そんなことを何度も繰り返しとるわ」
そうなると、私が見たのは……。あまりにも気味が悪いので、その先はもう祖母に訊きませんでした。女の子が呟いていた「タエロ」という言葉は、つまり「一家全員、息絶えろ」という意味だったわけです……。