霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第8回

「心霊スポット」首を吊った姿で現れた幽霊が、急に顔を上げてこちらを睨みつけ……!

霊能館公開

私、いわゆるタレントの卵です。現在、複数のアルバイトを掛け持ちしながら、芸能プロ付属の養成所に通っています。でも卵とは言いながら、ごくたまにちょっと際どいグラビア撮影の仕事をもらうこともあって、その時にAさんというビデオ制作専門のプロデューサーと知り合いました。で、ある日、そのAさんから心霊ビデオのオファーをいただいたんです。企画内容は若い女の子たちが関東近辺の心霊スポットを探検するというもので、「露出の多い衣装を着て、その場でキャーキャー騒いでいてくれれば良いだけの仕事だから」と言われました。実は私、生まれつきの霊感体質なんです。金縛りにもよく遭うし、幽霊らしきものも何度か見たことがあるし……(本当に見ちゃったらヤバいなぁ)とためらう気持ちがあったものの、引き受けることにしました。

撮影場所となった心霊スポットは、昔、温泉旅館だった建物の廃墟。噂では経営に行き詰まって首吊り自殺をした経営者夫婦の霊が出る、とのことでした。撮影は辺りが暗くなってから行われました。台本通りに女の子同士でおしゃべりした後、建物の敷地内へ入りました。雑草が生い茂る中を掻き分けながら旅館の入り口まで辿り着くと、カメラ照明を頼りにそのままロビーまで突入したのですが、とにかくすごく荒れ果てていて、ゴミやら資材の破片やらで足の踏み場もない感じでした。おまけにその頃から私、急に両肩が重くなっちゃって、(ここって、もしかして本当に出るかも)と脅えつつ、とにかく演出通りに館内を回っていったのですが、クライマックスのシーンで大変なことが起きてしまいました。

最後のシーンでは夫婦が首をくくったとされている和室で、スタッフさんの一人が気味の悪い音を立てて、それを合図にみんなが逃げ出すという段取りになっていたのですが、いざ室内に入った途端、私の方が先に叫び声を上げてしまいました。鴨居にぶら下がっている男女の首吊り死体の姿が、私の視界に飛び込んできたんです!しかもその女の方は首が伸びきった顔を上げて、脇にいた監督を凄まじい形相で睨みつけていました。さらに次の瞬間、女の身体がフワッと浮かび上がって、監督の背中に飛びつきました。同時に彼がバタリと倒れてもがき苦しみだし、そこで撮影はストップ。スタッフ総出で慌てて監督を外へ運び出し、そのままロケバスに乗せて近くの病院へ担ぎ込みました。急性の心筋梗塞だったそうです。何とか一命は取り留めたと聞いていますが、その後の病状については知りません。結局、ビデオ企画自体がお蔵入りとなってしまったのですが、その連絡を受けた際にAさんが漏らした言葉が今も耳に残っています。
「H君(監督の名前)のことはともかく、アレは絶対使えないよ。だってさ、映像に本物がはっきりと映っちゃってるんだもん……。まあ、この手のビデオやテレビ番組を作る時にたまにあることなんだけどね……」