霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第23回

「幸運の女神?」夢に現れたのは、まばゆい光に包まれた美女。もしや女神様ではないかと思ったのだが……。

霊能館公開

幼い頃から、夢で見たことが現実になるという現象を数え切れないほど体験してきました。具体例を挙げればキリがないのですが、例えば小学5年生の時、田舎で1人暮らしをしていた母方の祖母が笑いながら手を振っているという夢を見たところ、翌朝になってその祖母の訃報が飛び込んできたということもありました。高齢や病気で親戚知人が亡くなる直前には、必ずと言って良いほど当人の夢を見ますし、そうした人の生死に関わることに限らず、これまで私は恋愛や受験、就職など人生の節目節目で様々な正夢を見てきました。いつもと違う雰囲気のリアルな夢を見ると、必ずその通りの出来事が起きるのです。そんな私が直近に見た正夢について書かせていただきます。

その日は土曜日で会社は休み。「習い性となる」で、平日と同じ時刻に起床したのですが、シャワーを浴びた後、急に眠気がぶり返していわゆる二度寝をしてしまいました。その時に見た夢に現れたのは、明るいピンクのワンピースに身を包み、全身から服と同じ色の光を放つ女性の姿でした。見知った顔ではありませんでしたが、目鼻立ちの整ったなかなかの美女で、それが穏やかな笑みを浮かべながら、白い右腕を真っ直ぐに伸ばして真上を指差していたのです。目が覚めても脳裏に鮮明な残像が残っているほどだったので、これはまた例の正夢に違いないと直感しました。

夕刻になり、隣町に住む同期入社の女の子と駅ビルの3階にあるレストランで待ち合わせて食事をしたのですが、その時に朝方の夢について彼女に話しました。すると「それってさ、もしかして幸運の女神じゃないの?ほら、例のアレ、あんたが選ばれるっていう予言だよ」と言われたのです。

例のアレというのは、会社の人事のことです。当時、私は部署の課長から自分が次期主任の候補に挙がっているということを聞かされていました。だから謎の女性が上を指差していたのは「昇進する」という意味で、つまりは私が正式に主任に選ばれるということを暗示した正夢だというわけです。そう言われてみるとまんざら悪い気はせず、こちらもつい調子に乗ってしまい、「じゃあ、前祝いとして今日は私がおごるよ」などとはしゃいでいたのですが、次の瞬間、私たちの視線は席際の大きなガラス窓に釘付けとなりました。

窓のすぐ外を人影が落ちていくのが見えたのです。続いてドスンという鈍い音が響き、店内は騒然となりました。同僚が青ざめた顔で震えながら「と、飛び降り自殺?」とつぶやく向い側で、私は窓ガラスに張り付いてじっと眼下を見下ろしていました。

ビルの屋上かそれに近い階から飛び降りたのでしょう。舗道にはうつぶせの格好で倒れている髪の長い女性の姿がありました。最初は真っ白だった着衣は次第に赤い血の色に染まってゆき、周囲には大量の体液が放射状に飛び散っていました。まるで全身から光を放っているかのように……。今までの人生で最悪の正夢体験でした。