私の心霊体験談~S高校の日々~

私自身が通っていたS高校での出来事を、全5回に渡ってご紹介いたします。地域や名称はもちろん特定できない範囲での記述としておきます。ただし、知っている人からすれば「あぁ、あそこの高校だな」とすぐに気付くことでしょう。

第5回

心霊現象だらけの学生寮

霊能館公開

私が通っていたS高校の学生寮は、「第1回 病院跡地に建てられた学生寮」でもお話したように、違和感満載の「いわくつき物件」でした。とにかく心霊現象ばかりが起こっていて、霊感もなく霊の存在をそれまで否定していた私でも、次第に「霊はやっぱりいるんだろうな」という気持ちになるほどでした。私以外の寮生も同じような心霊体験をしていたので、卒業する頃にはどんな心霊現象を経験したのは、まるで恋人自慢でもするかのようになっていました。それくらい心霊は身近な存在で、まったく気にならないほどだったのです。

今回は、数ある現象の中でも、印象に残った2つの心霊体験をご紹介しましょう。

突然部屋を飛ぶ歯ブラシ

同級生のYの部屋で起こった霊的な出来事です。初めてYの部屋に遊びに行ったときのこと、Yは私に「ほぼ同じ時間帯にある現象が起こるから、ビックリしないでね」と先に言ってきました。私は、なにか幽霊的なものが見えるんだろうな、程度に考えていました。ですが実際には、予想の斜め上をいく現象を目の当たりにすることになったのです。

いつものように、Yとの会話に花を咲かせていたとき、洗面台の方からカタカタカタ……と振動するような音が聞こえてきました。私が「何の音?」と尋ねたのとほぼ同じタイミングで、洗面台に置いていたコップがカターンと落ちて、コップに入っていた歯ブラシが私の目の前を横切ったのです。文字通り目の前、空中を飛んだのです、歯ブラシが!洗面台から私の座っていた場所まで、およそ2~3メートルはありました。しかも歯ブラシはかなり速いスピードで飛び、壁に当たってポトンと落ちたのです。Yは「あーコレコレ。だからビックリしないでって言ったじゃん」と軽く言いましたが、当然驚きを隠せない私。ほぼ毎日、歯ブラシが飛ぶというポルターガイスト現象が、Yの部屋では起こっていたようです。

私の部屋ではまったく起こったことのない現象だったので、言葉が出ないくらいビックリしました。Yは入学して卒業するまでの間、毎日のポルターガイストが日課になっていたと笑います。

布団の上に乗る女

これは私が高校3年の頃の話です。あれは忘れもしない、3年間の集大成とも言える、高校総体を控えた日の前夜。万全のコンディションで試合にのぞめるようにと、いつもより早く部屋に戻り、布団に潜り込みました。ところが練習で疲れているはずなのに、なぜかその日はなかなか寝付けず、「最後の大会で緊張しているのかな」とまんじりと布団の中で考えていました。布団に入ってどれくらいの時間が経ったのかわかりませんが、ウトウトとしていたときのこと、身体全体に重しが置かれているような感覚に陥ったのです。金縛りは何度か経験がありましたが、いつもの金縛りとはちょっと違う感覚で身体が動かないというわけでもありません。ただ、身体が重たくて起き上がれないという感じです。電気を点けても良かったのですが、同部屋のMまで起こしてしまうとダメだからと気遣い、身体が動かないため首だけを持ち上げてお腹の方を見る事にしたんです。

その瞬間、「あー、見るんじゃなかった……」と後悔しましたよ。私のお腹の辺りには、女の人が座っていたのですから。薄暗かったので顔は見えず、年齢や顔つきはわかりませんでしたが、髪が肩よりも下くらいの長さがあったということだけは覚えています。S高校に入ってからというもの、私は心霊体験に興味を持ってしまい、いろいろな情報をネットで調べたことがありました。同じような心霊体験をした人の体験談を見ると「首を絞められた」「思い切り睨まれた」など恐怖を感じるようなことばかり書かれていたので、「私もヤバいかも」と不安に思いました。怖くてしばらく目を閉じていたんですが、それ以上に苦しくなるようなこともなく、寒気を感じることもなく「大丈夫なのかな?」と薄目でお腹の上を見てみました。その女の霊は特になにかをするでもなく、ただ私の方を見て正座をしているだけ。「何か伝えたいことがあるのかな?」と思っていると、急に身体が軽くなり、スーッと霊もいなくなっていたのです。

次の日の朝、夜の出来事を部活仲間に話しました。信じる子、信じない子もいましたが、1人だけ「私と同じ!」という子がいたのです。ほぼ同じ時間帯、ほぼ同じような体験だったので、とても不思議に感じました。この体験にどんな意味があったのか、女性の霊がなにを言いたかったのか、今でもわかりませんが、すごく気になる心霊体験だったのでご紹介しました。