霊感恐怖夜話
~霊能者が体験したコワい話~

霊能者が体験した、悪霊、怨霊、因縁などにまつわる恐怖の実話をお届けいたします。

第15回

「いくつもぶら下がっている」毎晩、通る道すがらにある一軒家。その窓に映る不気味な影……。

霊能館公開

学生時代、バイクで事故って生死の境をさまよったことがあるんです。意識不明の状態が三日続いて、その間、俗に言う臨死体験をしました。変なモノが見えたり聞こえたりするようにするようになったのはそれ以来ですね。まあ、僕個人の経験に限定すれば、大抵の場合、その手のモノは人に悪さをしたり、呪ったりなんてことはないみたいですね。残留思念っていうんですか。ただ、ぼんやりとそこにいるだけみたいな無害な存在なんです。ホラー映画に出てくるような、人を呪い殺す怨霊なんかには遭ったことがありません(笑)。ただ、何とも得体の知れない不気味な奴にはたまに出会いますが……。

毎晩、仕事の帰り道に人気のない寂しい感じの路地を通っていたのですが、ある日、道沿いの一軒の家の窓に異様な影が映っていることに気付きました。低い垣根越しに見える一階のリビングと思しき部屋の窓なんですが、そこに首吊りをして宙ぶらりんになっている人影が見えたんです。もちろん本当の自殺ならすぐ警察に通報しますが、そうじゃないことは経験上分かっていますから、気味が悪いなとは思いつつ、そのまま通り過ぎていました。この影が見えるようになったのは、半年前の冬くらいですから、たぶん、その頃にあの家で誰かが首吊り自殺をしたんじゃないかと推測しましたが、実際に調べたわけではないのでその辺は不明です。まあ、とりあえず無害だし、せっかく一番の近道になっている帰路のルートを変えるのも面倒だし、気にしなければいいかと、そんな感じでしばらくはそのままでした。ただ、そのうちにふと気がついたんです……。

首吊りをしている人影の腰のあたりに、いつの間にかもう1体、別の影がくっついていました。シルエットの形からして、恐らく3歳くらいの小さな子供じゃないかと思いました。しばらく立ち止まって観察していると、その子供の影は首吊りの影にすがりついて、盛んにブラブラと揺らしていました。それから1週間くらい経って、またいつものようにその家の前を通ったら、取りすがる子供の影の数はさらに増えて2体になり、さらに1週間後には3体、4体と増え続け、終いには影の形が巨大なブドウの房みたいになってしまいました。そんなある晩、いつものようにその家の前を通り過ぎようとした時、急に大勢の子供の笑い声が聞こえてきました。驚いて窓を見た瞬間、そこに映るブドウの房が爆発して、いくつもの小さな影が一斉に飛び散りました。それは真っ黒な丸い球体のようなモノに変化して、周囲の家やマンションの建物へ次々と吸い込まれるように消えていったんです。最初に見えていた首吊りの影はもうありませんでした。僕はその晩を境に、帰り道のルートを大きく変えました。このままあの路地の周辺を通り続けたら、そのうちに何か良くない事が起きるような気がしまして……。