恋の恨みを買ってはいけない!〈前編〉
今回は、他人から特別な感情を抱かれることの危うさについて書きます。他者に対して特別な感情を抱く事柄と言えば、まず思い浮かぶのは恋愛ですが、愛情問題のこじれが霊障へと発展するケースは案外と多く、私の所へも絡その類のご相談が舞い込むことが度々あります。つい最近も三十代半ばの男性から悩みの相談を受けたのですが、やはり恋愛絡みの霊障が原因でした。その男性は仕事や私生活でのトラブルが頻発して肉体的にも精神的にも非常に困憊しており、どうすれば苦しい現状から脱することができるのか、アドバイスを求められました。
対面している最中、私の霊眼には彼の背中越しにたたずむ髪の長い女性の姿がずっと映っていました。こちらがそれとなく探りを入れると、約半年前に婚約寸前まで行った女性と別れたとのこと。別離の原因は彼の側にあり、他に好きな相手ができて半ば強引に交際を絶ったと……。私は「あなたが捨てた女性が生き霊になって取り憑いています」と正直に告げ、その上で霊障を取り除く儀式を執り行いました。霊能者や祈祷師にとって一番厄介な依頼というのは、生き霊の障りに関する事柄です。すでに肉体の無い霊によって引き起こされる霊障を解消させることは大抵の場合、一度の浄化供養を執り行えばそれで済むものなのですが、生き霊は浄化・消滅させてもまたすぐに再生されてしまうため、供養の儀式を何度も繰り返さなくてはなりません。霊波動を飛ばしている本人が生存しているため、新たな生き霊が産み出され続けてしまうのです。問題の男性に関しては、私が霊浄化の儀式を定期的に行うのと同時に、彼が捨てた女性と実際に会って心から謝罪するように指導した結果、一ヶ月ほどで霊障を止めることができました。
生き霊の憑依を受けると、日常生活の中で様々なトラブルが生じるようになります。仕事、人間関係、恋愛など全てが不調になります。一方、生き霊を飛ばしている本人にはその自覚が全くありません。ただ、自分の霊魂エネルギーの一部を不自然な形で分離させているため、こちらもまた精神と肉体の両面で大きなダメージを負います。霊を飛ばす本人も憑依を受ける側も共に不幸になってしまう~それが生き霊の祟りです。恋愛をすると人は単に感情だけではなく、霊魂のレベルでも昂揚して不安定な状態になります。つまり無意識に生き霊を産み出しやすい状態になってしまうのです。もちろん個人差はありますが、生まれつき思い込みの激しい人や性格が陰性で執着心が強い人などは、恋愛の相手に生き霊を飛ばしてしまう傾向が強いです。ですから何らかの理由で恋愛関係を解消する際には、自分だけでなく相手の気持ちも納得させる必要があります。難しいことだとは思いますが、別れる相手に執着されないようなきれいな別れ方をする、これが生き霊の障りを避ける唯一の方法です。